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北大LSの“超目玉”商品 弁護士・兼担教員 前田尚一

 法科大学院の創設にあたり,多様な人材に司法の世界への参入を開放すべく,制度の中に法学未修者コースを組み込みこんだことは,時代の要請に適う画期的な設計であった。

 が,しかし,制度レベルで好意的に受け入れられた法学未修者は,法科大学院に入学するや直ちに,羅針盤のないまま航海を強いられ大海の荒波に放り込まれた,そんな心境に陥っているというのが現実のようだ。そのうえ,法曹になるためのハードルとして厳に存在する新司法試験に,法学既修者と法学未修者の区別はない。

 法学未修者の持つ1年の余裕を極大化させ,ここでこけたら法曹としての将来はないと言っても過言でないほどに,もっとも基盤となる法であり,しかも極めて広範な領域を持つ民法を体感して修得するために,研究者と実務家が智恵を絞って用意したシステムが,「民事法基礎ゼミ」だ。学生を17, 8名で構成される少人数のグループに分け,10数名の研究者と実務家が議論を闘わせ完成させた問題について,研究者の行う講義と連繋を持たせながら,毎回,学生に検討して答案を作成・提出してもらい,実務家である担当が添削したうえで,双方向性を目指しつつ授業が行われる,というこの仕組みは,まさに実務家と研究者の架橋による成果であり,当法科大学院の“超目玉”商品だ。

 いささか私見に傾くかも知れないが,初学者が法律を修得するうえで必要なことは,まずは先人の謂わんとするところを素直に理解することだ。判例や学説への批判に酔うことがあるが,それが自分の理解不足を隠蔽するための無意識の弁解であることさえある。理解不足なのに理解したつもりにならないように,自分自身を警戒することが肝要だ。また,時には,理解したフリをして,自分を意識的に騙して前に進む,そんな技術的な対応も必要となる。

 「学問に王道なし」と言われるが,王道はなくとも,「近道」はある。「民事法基礎ゼミ」とネーミングされた仕組みの中で,新司法試験を意識しながら,技術的な側面も含めた合理性を追求しつつ,大海の荒波の中で航海する法学未修者に役に立つ羅針盤を,実務家の視点から提供していきたいと考えている。

 “超目玉”商品とはいえ,まだまだ試行錯誤の段階であり,授業終了後のほぼ毎回担当と研究者との間で議論しながら改良を加えている。1通の答案の採点するだけでも,1時間近くかかり,予習その他も含めると,ほとんど丸2日は間違いなく潰れる。担当としては,正直言って,きつい。

 が,幸いにも,学生のモチベーションは,極めて高い。学生と我々との両輪が,確実に円滑な回転をしていると実感している。